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モノづくりで国際貢献を
文=雨宮清(株式会社 日建 代表取締役会長)
世界から“悪魔の兵器”が消滅する日を目指して、私たち日建は日々こつこつと地雷除去機を作り続けています。その挑戦を率いる会長・雨宮清の心の奥底にいつも流れているのは、日本のモノづくりと世界、そして次世代を生きる若者たちへの思いです。
“モノづくりの挑戦者であり続けたい”
私が地雷除去活動を始めるきっかけとなったのは、1994年、カンボジアのプノンペンで出会ったおばあさんに「助けてください」と懇願されたことでした。
私の座右の銘は、「技術者はモノづくりの挑戦者であれ」。
技術者としてできることは何だろうか。私にとってその答えは、地雷除去機をつくって、世界から地雷をなくすということだったのです。
カンボジアで地雷除去を始めたころ、ある人からこんなことを言われました。
「ジャングルから地雷を除去して、畑にすることなんて考えるな。それができたらノーベル賞ものだ」
地雷とは縁もゆかりもない、平和な日本からやってきた私たちが、地雷除去機という世界にまだ存在すらしていないものをつくり、しかも地雷を除去した場所を農地に変える。そんなことはできるはずがないと思われていたのです。
座右の銘にしたがうならば、技術者は常に挑戦者でなければなりません。不可能と思われることにチャレンジし、モノづくりによって、それを乗り越える。いつの世においても、新しい技術はそこから生まれてきました。
当時、私たちの会社はまだ小さく、社員はたった20名程度。しかし、このプロジェクトに関わったひとりひとりのモノづくりに対する志が、不可能を可能にしました。
実現できたのは、いつも挑戦者であり続けられたこと。そして、常にその機械を使う人の側に立って考えられた結果だと思っています。
もしかしたらできないかもしれない、もし失敗したらどうしよう、と後ろ向きな考えをする者は誰もいませんでした。明治大学ラグビー部の元監督・北島忠治さんの言葉「前へ」のように、たえず前に前に物事を考えていく。
「たとえ失敗したっていい、失敗は肥やしになる」
「オレが責任を持つからやってみろ」
モノづくりとは、そうした試行錯誤と挑戦を繰り返していくことだと私は思います。
イノベーションについて語る 会長 雨宮清