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地雷原のジャングルを豊かな大地に変えていく カンボジア王国編
2. 仕事をしたくても畑がない、地雷原の村の厳しすぎる現実
カンボジアの地雷原に住む人々
地雷はカンボジアの全土に点在していますが、その多くはタイとの国境付近のバッタンバン州やシェムリアップ州などの、都会から離れた農村部にあります。
地雷除去を行う場所はカンボジア地雷対策センター(CMAC)の指示で決められます。優先順位が高いのは、人のたくさん住んでいる場所や、畑の少ない場所。住民から被害の報告を受けた村長が国に訴えを出し、CMACが調査を行って、その後除去作業に入るというのがもっとも多いパターンです。
雨期にはぬかるみでトラックが転倒してしまうことも
地雷除去を行う際、私たちは地雷原手前の小さな町にホテルを取り、毎日山の中を1~2時間かけて村へと通います。ホテルとはいっても、たいていはシャワーが出るか出ないかもわからないようなところ。ときにはCMACのテントに現地スタッフと一緒に野営して寝泊まりすることもあります。
道路が整備されていないため、現場となる村までたどり着くのもひと苦労。雨期にはぬかるみにタイヤを取られ、地雷除去機を積んだトラックが転倒してしまうこともあります。また、トラックでは走れないような道の場合、地雷除去機そのものがゆっくり自走して行かざるを得ません。こんな悪環境でも走行して作業を行うために、地雷除去機の軽量化は必須でした。
そんな地雷原の村に暮らす人々は、おもに農業で生計を立てています。
農業とはいっても、地雷が埋まっている可能性があるため、畑にできるのは道路のまわりだけ。わずか10メートル四方ほどの狭い土地しか使えず、頑張って畑仕事をしたくてもできないというのが現状なのです。また、これは私たちも一瞬目を疑いましたが、なんと地雷原を示す赤い看板と立ち入り禁止のロープの中に家があるというケースもありました。
立ち入り禁止区域に住居が
地雷原に住む子どもたち
「明日食べるものがないんです。畑をつくってください」
現場を目の前にして、村人たちから直接悲痛な訴えを聞いた私たちは、地雷除去だけではなく、1台で農地復興までできるマルチな機械を開発することを決意しました。現在では、潅木(かんぼく)のカッティングや地雷の除去はもちろん、さまざまなアタッチメントをつけることで、農地を耕したり、道路を整地したり、井戸を掘ったり、多用途に使えるものへと進化しています(地雷除去機の解説)。